「撮影モデルになってくれませんか?」元モデルの妻がカメラマンの男に寝取られた。 三宮つばき【adn00637】
作風としてはマドンナの『ヌードモデルNTR』と『お前の奥さんに恋人のフリをして欲しいんだ…。』を併せたような作風。元モデルの美人嫁を持つ低スペック夫のコンプレックスと、社会的成功者である夫の友人という設定が前置きとして重要。ただ、夫役にはいつメンよりもパッと見で底辺臭が伝わるタイプの役者がいい気がする。説明しなくても絵的に伝わる情報って大事。
人妻が元モデルというのも重要な設定。「元プロならこのくらい出来るでしょ?」とプライドを刺激して強引にことを進める筋書きは悪くない。相変わらず自己主張の激しい不安定なカメラワークにイライラさせられつつ、最初からこういうの期待してたんでしょ?っていうカラミもエロかったけど、夫への潜在的な不満といった前フリはもう少しあっても良かったかも。男優小田切のしゃべりも拙くて、大島丈なみのいかがわしい業界人っぽさが欲しかったし、もう少しモデルとカメラマンが寝るのは当たり前と言った、一般社会とは別世界の人間同士の阿吽の呼吸といったデカダンスな演出があっても良かったと思う。
中盤ではそのへんが顕著で、夫が家にいるのを知りながらリビングで堂々とセックスを始めちゃうのが、住む世界が違う下々に何を思われようが気にしない貴族のふるまいって感じの大胆な演出。夫バレを幸いにさっさと夫と別れる気になってる鬼畜妻に、土下座してすがりつく夫の卑屈さからの、あえて下層民との結婚関係は維持したまま上級国民に孕まされる背徳感を楽しむ鬼妻と言う歪んだシチュエーションが高評価。夫の主観カメラワークと言う後半も、既出の演出ではあるが木村監督の作風と合ってて良かったと思う。
事実上の重婚状態になるラストは同監督の『「俺の妻を妊娠させてくれないか?」親友から頼まれて、奥さんが妊娠するまで中出しさせてもらった。 五芭』と同系でもあり、家庭内にカーストのてっぺんと底辺が同居する格差社会ドラマとの融合がなかなかいい。
木村監督の作品にありがちな面白くないコント臭といったテクニカルな部分で冷めちゃうところもあるし、もう少し経済的な事情で子供も作れない人妻の忍耐と言った、『妻のスマホを覗いたら、俺の同級生と不倫していた。 白峰ミウ』的な掘り下げがあっても良かったと思うし、まだ伸びしろはあると思うけど、木村浩之監督とアタッカーズには今後もこうした重婚ものを追及していただきたいところ。
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